埼玉県道路公社 50年のあゆみ
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5日本経済の高度成長期において、増大する自動車交通需要に対して道路の整備は著しく立ち遅れていた。このような状況に対応するため、民間資金を活用し、地方幹線道路の整備を推進する目的で施行された地方道路公社法に基づき、昭和46年に埼玉県道路公社が設立された。設立後、熊谷東松山有料道路を皮切りに、富士見川越有料道路、狭山環状有料道路、新浦和橋有料道路、新見沼大橋有料道路、皆野寄居有料道路の計6路線の建設と管理を行い、現在までに新浦和橋有料道路など4路線を無料開放している。最初に建設した熊谷東松山有料道路では、関越自動車道の延伸による交通状況の変化により交通量が伸び悩み、厳しい経営状況の中での無料開放であったが、それ以降はその教訓を生かし、慎重に採算性の検討を積み重ねたうえで建設と管理を進めてきた。また、新見沼大橋有料道路、皆野寄居有料道路では、電子マネー決済の導入、トンネル照明のLED化と全国の地方道路公社に先駆けた取り組みを行ってきた。その一方、自然災害や事故発生時の緊急時には迅速に対応するなど間断のない交通の確保を行い、常に高い管理水準を保ち続けてきた。さらに地域の学校や農業協同組合、事業者と連携し、お守りを製作し配布する交通安全活動やいちご狩りとの共同PRなどをはじめ、さいたま国際マラソン記念回数券や商業施設イベントでの回数券の販売など地域との連携や利用者サービスの向上、利用促進といった地域に愛される有料道路の魅力づくりと経営努力を行ってきた。このような取組みと経営努力の結果、熊谷東松山有料道路以降に無料開放を行った路線では道路建設時の借入金を完済し、埼玉県及びさいたま市に道路資産と管理を引き継ぐことができている。有料道路事業以外においても、県道の高架下等の未利用地での違法駐車や不法投棄を防止し、用地を有効活用する有料駐車場事業を実施しており、近年では長年の道路管理で培った技術力を活かし、経験者が少なく技術者不足に悩む市町村を支援する橋梁点検の発注代行など、新たな取り組みも進めている。現在では、平成30年に事業許可された全国の道路公社でも約15年ぶりとなる新規有料道路の三郷流山橋有料道路の建設を推進している。当公社がこれまでに整備した路線は、50年後の現在では国道140号や国道254号、国道463号など埼玉県の主要な道路ネットワークの一部を形成し、県内の持続可能な発展に寄与している。今後も厳しさが予想される財政状況の中で、広く民間資金を活用し、集中的に事業を推進できる公社の特性を活かして埼玉県の道路網形成の一翼を担うとともに県民の期待に応えていく。50年間の概要

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